Q1.小惑星とは、どんな天体ですか。
A1.小惑星とは,太陽系内の九つの惑星とその衛星,そして彗星以外のすベての小天体をさすといってよいだろう。
小惑星のほとんどは,火星軌道と木星軌道の間に存在します。
一般には太陽から2〜3天文単位(1天文単位は太陽と地球の距離で約1億5000万キロ)の距離で,地球と同じ方向に太陽のまわりを公転している。小惑星が多く存在するこのドーナツ状の領域は「小惑星帯」とよばれており,その厚さは約1天文単位である。
小惑星の分布
小惑星の分布
この分布図は、太陽から見てどのくらいの距離に小惑星が存在するかを表したものです。図からもわかるように火星軌道と木星軌道の間、太陽から2天文単位〜3天文単位に集中していることがわかります。これを小惑星帯と呼びます。
イメージからして、この領域には、ごろごろと小惑星がころがっていそうですが、実際には非常にまばらに存在します。
また最大の小惑星ケレスでも直径910キロとさほど大きな天体ではなく、ほとんどの小惑星は直径100キロ以下の小天体です。

 
Q2.小惑星はどうやってできたのか?
A2.太陽系の歴史の初期に,半径が1〜10キロ程度の「微惑星」とよばれる小天体が無数にできた。
惑星はこの微惑星の衝突・合体によって形成されたといわれている。

小惑星帯の成因には二つの考え方があります。
一つは微惑星が,現在までそのまま残っているという考え方です。
もう一つは,惑星が大きくなっていく途中で,惑星どうし,あるいは惑星と微惑星のはげしい衝突のために,惑星がこわれてしまったというものです。
小惑星は現在も続々と発見されています。2006年で仮符号登録された小惑星は、約338,000個に上っています。そのうち軌道がわかっていて小惑星番号がつけられたものは約134,000個にもなります。
これまで小惑星で最大とされていたセレスは,直径が約1000キロ弱ですが、惑星の定義が決められ、冥王星とエリスが準惑星となり、ケレスも準惑星に分類されることになりました。またエリス以外にも太陽系外縁天体にケレス以上の小惑星が次々に発見されましたが、メインベルトの小惑星とは起源が異なる天体です。
いずれにしても小惑星は、ほとんどは100キロ以下で,小さいものほど数が多く、数メートルのものもみつかっています。探査機ガリレオによる写真や,地上からのレーダー観測により,いびつな形のものや,二つの小惑星がくっついているようなものがあることがわかってきました。
ほとんどの小惑星は小さいために表面での重カが小さく,いびつな形を保つことができます。
いびつな形は,小惑星が衝突や合体でできたことを示しています。
力学的な進化の研究から,小惑星帯にはより大きな天体がこわれてできた破片群と思われる小惑星のグループ(族)が数多く存在することがわかっています。
これは小惑星帯が惑星の破壊によって形成されたことを示唆しています。
しかし,なぜ小惑星帯でだけ惑星が合体して成長しつづけずに,衝突・破壊してしまったのでしょうか。
木星の大きな重力作用により加速されて衝突速度が速められたためだとか,小惑星帯の温度では惑星をつくる材料物質がもろくてこわれやすかったためだとかいわれてはいるが,はっきりしたことはまだよくわかっていません。
小惑星の大きさ
小惑星の大きさ
小惑星は、取るに足らない小天体である。
最大の小惑星ケレスでも直径910キロしかない。
これより大きな衛星も多数あるわけです。
しかも大半の小惑星は、直径100キロ以下で、小さいものはいびつな形をしているものが多い。
小天体がいびつな形をしているのは、重力が小さく球形になれなかったからである。
これらの小惑星を全部集めても、その質量は火星にも遠く及ばないらしい。
どうして他の惑星のように大きな一つの惑星になれなかったのかは不明である。
Q3.よく地球に接近する小惑星があると聞きましたが、本当ですか。
A3.小惑星の中には,惑星の軌道を横切るものがある。
1994年12月現在,火星軌道より内側にくる小惑星は約400個発見されている。
そのうち最大のものは直径が数十キロである。
地球軌道より内側にくるものになると,最大10キロ程度のものしかみつかっていない。
小さい小惑星はひんぱんに地球に接近しているらしい。
1991年1月には「1991BA」,1993年5月には「1993KA2」,1994年3月には「1994ES1」という小惑星が,地球からわずか10数万キロ(月までの距離の半分以下)のところを通過したのが観測されている。
これらの小惑星の大きさは,いずれも直径が数メートルから10メートルと推定されている。
最近,これらの小惑星がどの程度の確率で地球に衝突するのかについての研究が進んだ。
直径1キロのものは100万年に1回,100メートルでは1000年に1回,30メートルでは10年に1回,地球に衝突するといわれている。
直径100メートルの小惑星が地球に衝突するときのエネルギーは,広島の原爆の約1000個分に相当する。
これより小さいものは,大気を通過する際にそのエネルギーのほとんどを消費してしまうので被害は局所的になる。
一方,小惑星帯の外側でも小惑星は続々と発見されている。
1994年12月現在で,木星と土星の間に1個、土星と天王星の間に3個,天王星と海王星の間に2個、海王星と冥王星の間に6個,冥王星より外側に11個の小惑星がみつかっている。
Q4.小惑星はなんでできているのか。
A4.小惑星を構成する物質については,直接の観測がないのでよくわかっていない。
石質隕石や鉄隕石とよく似た特微をもつものや,彗星の核の表面によく似た特徴をもつものなどがある。
探査機ガリレオによって推定された密度や,軌道が求められた隕石が小惑星帯からきていたことなどから,小惑星のほとんどは隕石のようなものであると推定されている。
しかし小惑星は,太陽からの距離によって物質がちがっているという研究もある。
遠くの小惑星には彗星と似ているものが多い。
実際1977年に発見された小惑星キロンは,1989年,周囲に彗星特有のコマが観測され,「キロン彗星説」も提唱された。
逆に1949年にウィルソン・ハリントン彗星として発見された天体は1979年の観測時にはコマがなくなっており,小惑星「1979VA」としてあらためて登録された。
このように小惑星帯以外の小惑星として登録されている天体の中には,「彗星予備軍」や「彗星のなれの果て」の天体がまじっている可能性が高い。